2010.11.07

ろ過作用を発揮

地層は病原性微生物の一部にたいして、ろ過作用を発揮する。

これらの微生物の大きさを、地層の間隙の大きさと対比したものがあります。

大型の微生物にぞくする原生動物や真菌植物の大きさは、礫や粗粒砂で構成される帯水層の間隙よりもちいさいため、砂礫層では病原性微生物をほとんどろ過することができない。

これにたいし、単細胞の微生物でチフス菌・パラチフス菌や、食中毒の原因となるサルモネラ菌・コレラ菌などの細菌(0.2〜5μm)は、ほぼ細粒シルトから粗粒粘土の粒径に相当するので、地層が細粒シルト・粗粒粘土・細粒粘土とこまかくなるにしたがって、原生動物や真菌植物、あるいは細菌類などのろ過機能が高くなります。

ところが、ポリオウイルスや流行性肝炎のウイルスなどになると20〜250nm(10-6mm)とさらにちいさくなるたあ、土粒子の粒径が最もちいさい粘土層でさえとおりぬけてしまいます。

このように、地層のもっろ過作用はその間隙の大きさに依存し、通常、病原性微生物などの懸濁物にたいして地層のろ過作用が期待できるのは、せいぜいその大きさが1μm程度の細菌くらいの大きさのものまでです。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.06

ろ過作用

地表面から汚染物質をふくんだ汚水が浸透するとき、汚水は草木の葉や根とその分解した有機物、あるいは土中に生息する微生物などをふくむ約数十cmの厚さの土壌層や砕屑物からなる堆積層を通過し、ときには大きな岩体のさけ目などをとおりながらさらに下方へ降下する。

もし、浸透する水が固形物質や微生物などの懸濁物をふくんでいると、地層を構成する土粒子の間隙よりちいさな懸濁物だけがその間隙を通過できます。

地層はこのように懸濁液を液体と固形物に仕分けする機能をもっており、このような機能を地層のろ過作用とよんでいます。

地下に浸透する水には、大なり小なり固形微粒子がふくまれているが、流動する過程で地層がろ材となり、懸濁物はしだいに除去されます。

地下水が一般にすんでいるのは、この地層によるろ過作用におうところが大きい。

ところで、地層はさまざまな大きさの砕屑物によって構成されているので、ろ過の程度もこれらの砕屑物の粒径によって大きく左右されます。

砕屑物を粒径によって分類したものがあります。

また、さまざまな大きさの砕屑物がまじってできている地層の土性をあらわすのに、粘土や砂などの含有率による土性の分類区分がもちいられています。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.05

地層とは

地層とはある厚さと、水平的な拡がりと、上下の関係をもった堆積物のことで、段丘堆積物のように固化していない地層を砂層や礫層などとよんでいます。

このような堆積物の最上層では、物理的風化作用や化学的風化作用によって岩石や堆積物が本来の固さや組織をうしない、ルーズな組織の砂や粘土のあっまりとなっています。

このような腐った状態の風化殻は、高等生物の生育の場となり、土壌とよばれています。

以下では、未風化の堆積層と風化した土壌層を一括して広義に地層とよぶことにします。

さて、汚染物質はこのような地層中で、地下水の流れによる運搬作用以外に、ろ過や希釈などの物理的作用をうける。

そこで次回、汚染物質のろ過作用と希釈作用について説明しようと思います。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.04

土粒子の性質

砂をつめた円筒内を流れる浸透水の流量は、円筒の断面積と水頭差に比例し、砂層の長さに反比例します。

このときに使われる比例定数、すなわち透水係数は浸透層における水の流れやすさをあらわしたものです。

この透水係数の大きさは浸透層を構成する土粒子そのものと、水をふくめて浸透層内を流れる液体の性質に左右されます。

浸透層を構成する土粒子の粒径が大きくなれば、当然水のとおる土粒子の間隙もそれだけ大きくなって水は流れやすくなり、逆に土粒子の粒径がちいさくなれば水は流れにくくなる。

土粒子の粒径と透水係数との関係を調べたところによると、透水係数の大きさは土粒子の粒径の2乗に比例することがわかっています。

ところで、帯水層は通常大小さまざまな土粒子がまじってできています。


地層中における水の流れやすさにっいて説明してきましたが、エンジンオイルなどのようにドロドロした液体や、ベンゼンなどのようにサラサラした液体では、当然流れかたはちがってくるはずです。

地層を流れる流体が水ではなくほかの液体ならば、流れやすさはどのようにちがうでしょうか。

液体にはそれぞれ固有の粘性があるため、液体が運動しようとするとその内部で摩擦が生じ、液体内部の相対速度をへらそうとする抵抗力がはたらく。

したがって、液体の粘性がちいさいほど地層における透過性がよくなります。

液体の地層中における透過性を考えるうえでもうひとっ重要な要素は、液体の密度です。

粘性は等しいが密度のことなる2つの液体が、浸透層中を垂直下向きに浸透する場合を考えてみると、当然ながら、密度の大きい液体のほうが大きな位置エネルギーをもち、したがって、透過性も大きくなる。

以上を整理すると、液体の地層中における流れやすさは、液体の密度に比例し、粘性に逆比例する。

そこで粘性係数(粘性の度合)を密度でわった値、すなわち動粘性係数を地層にたいする液体の透過性の指標としてもちいることができます。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.03

試算

試算によれば、1m3の新雪を融かすのに必要な水量は、約2.5℃の河川水で3.2m3であるのにたいして、14.0℃の地下水であればその5.6分の1の0.57m3ですむ。

したがって、水温の高い地下水を使えば、それだけ効率的に雪を融かすことができます。

ところで、春になると冬のあいだに積もった雪が融けはじめ、地表面からはっめたい融雪水が浸透する。

その結果、上層部の地下水温はしだいに低下し、中には3℃のところも出現してくる。

この冷水塊は、密度が大きいため、自然対流によって下方へ移動しようとする。

一方では、地下水は水頭差による強制対流によって水位のひくいほうへと流れようとする。

このため、冷水塊は、ななめ下方に移動し、その過程で周囲の優勢な温水によって中和され、やがて消滅してしまいます。

一見、単純にみえる地下水の水温の形成も、くわしく調べてみればかなり複雑な機構に左右されているということがわかります。

もし、地表に蓄積された汚染物質を溶解した融雪水が浸透すれば、地下水は自然対流で、より深部まで到達し、汚染範囲が拡がることになります。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.02

地下水の流れ

地下水中の水温分布が地下水の流れにあたえる影響を、もうすこしべつの角度からみてみようと思います。

地下水位のもっとも低下しているところが長岡市街地にあたり、その周辺は水田地帯です。

さて、5月から8月にかけては、水田で温あられたかんがい水が浸透し、水田地帯の地下水上層部で水温がしだいに上昇し、8月の上旬には24℃以上のところも出現しています。

密度のちいさな温水は、浅層地下水の上部に温水帯を形成し、地下水面こう配にそって、地下水位のひくい長岡市街地のほうへ流れることがわかります。

夏から秋になると、地表面からの温水や熱の供給がすくなくなり、また温水塊の熱も熱移動によって周囲に拡がるため、その中心部では水温はしだいに低下してきます。

長岡市では、冬のあいだ、道路の雪を融かすため地下水を利用し、その結果地下水位が大幅に低下することは先にのべたとおりであるが、このあいだに揚水される地下水は、実は地下水浅層部の温水塊なのです。

水で雪を融かす場合、水温が重要なことはいうまでもない。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.11.01

温度分布

湖水の温度分布と大きくことなるのは、表層の水温の低下によって地下水上層部に密度の大きな冷水帯が形成されているということです。

それでは、地下水中では、湖水とちがって温度差による熱対流すなわち密度流は発生しないのでしょうか。

浅層地下水の平均水温は、その地域の年平均気温とほぼ等しい。

たとえば、長岡市の過去10年間の年平均気温は12.7。

Cで、平均地下水温の約13℃とほぼ一致しています。

地下水温分布は、平均地下水温である13℃の垂直線にたいして、かなり非対称になっています。

っまり、表層の地下水温が最も低下する1月から4月にかけては、地下水温低下がより深層までおよんでおり、地下水温が上昇する夏季の温度分布の仕方とあきらかにことなっています。

このことは、地下水中の熱の移動は熱伝導によっておこなわれるだけでなく、冷水塊にたいしては密度流が発生していることをしめしています。

おなじ地域でも、地下水面のこう配が大きなところでは、地下水が停滞することなく全体的に流動しています。

流動性地下水における水温分布をしめしたものがあります。

地下水の流れのおそい8月から12月までは、深層部の地下水温はほとんど変化していません。

これにたいして、長岡市街地で消雪のため大量に地下水が揚水され、地下水面こう配が大きくなって地下水の流れがはやくなる12月から翌年の2月にかけて、深層部の地下水温が約1.5℃も低下しています。

これは地下水が全体的に流動し、水温のひくい地下水といれかわったからです。

このように、流動性地下水と停滞性地下水の水温分布には顕著なちがいがみられることがあります。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.10.31

冬から春

冬から春にかけて湖水面があたたまると、熱対流によって湖水はふたたび循環し、水温は全層が均一となる。

このように、温帯域にある湖沼や貯水池では、年に2回の湖水の循環がみられるが、この原因は、先にのべたような温度差によって発生する密度流によるものです。

もし、湖水の表層が汚染されていれば、湖水の循環は汚染物質を湖全体にわたって撹拝するはたらきをすることになります。

地下水温の経年変化湖水の水温変化にたいし、地下水温はどのような経年変化をしているのでしょうか。

長岡市の近郊における停滞性地下水の地下水温の垂直分布の経年変化をしめしたものがあります。

地下水の水温に影響をあたえる要因に、地表面からの浸透水と熱伝導があります。

この地域の地下水は、降雨や水田からの浸透、融雪水の浸透、あるいは河川水の伏流などによって補給されます。

この補給水の水温は、その水源や時期によってことなり、0℃にちかい春先の融雪水から、30℃をこえる夏季の水田かんがい水まで、その水温にかなりのひらきがあります。

一方、地表面からの熱伝導は、浅層地下水の水温に影響をあたえ、その範囲は地表面下約15mまでおよぶといわれています。

さて、湖水温と同様に、春から夏にかけて地表面の熱が伝達されて上層部の地下水温が上昇し、逆に秋から冬にかけては地表面の冷却によって上層部の水温が低下していることがわかります。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.10.30

温泉地帯や地熱地帯

温泉地帯や地熱地帯では、地下の熱源によって地下水が局所的にあたためられ、熱対流が発生していることが確認されています。

このような熱対流は、温泉地帯や地熱地帯などの特別な地域にのみみられる現象なのでしょうか。

実は、これほど顕著ではないが、このような特別な地域以外でも、条件がそろえば地下水中に熱対流が発生することがわかっています。

熱対流による水循環地下水中の熱対流の性質をよりよく理解するため、まず、温帯地方の湖沼や貯水池の水循環をみてみようと思います。

温帯域の湖の水温分布の経年変化をしめしたものがあります。

春から夏にかけて、湖水表面の温度は、太陽の放射熱を吸収し、しだいに上昇してきます。

そして、水面で吸収された熱は、熱伝導により下層へとったえられる。

この時期の水温分布の特徴は、高温の等温層である表層、低温の等温層である深層、およびその中間に温度こう配の大きな水温躍層*1が形成されることです。

この時期は、密度のちいさな温水が、密度の大きな冷水の上部に位置するたあ、熱対流は発生せず、したがって湖水は安定しています。

しかし、夏から秋にかけて、湖水面が表面から冷却されると、上部の等温層内で熱対流による循環がはじまる。

そして、水温躍層の位置もふかくなり、躍層上部の水温と下部の水温の差も、だんだんちいさくなり、やがて水温の垂直分布が均一になります。

冬になって湖水面がさらに冷却すると、水面から結氷がはじまり、水温の成層状態は、表面水温が深層水温よりひくい温度分布となって、湖水はふたたび安定します。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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2010.10.29

密度と濃度

地層中で密度のことなる2つの液体が接するとき、2つの液体はどのように運動するのだろうか。

密度のちがいを生じる原因はいくつかありますが、ここでは濃度差・温度差についてのべています。


★濃度差による流れ

横40cm・縦10cmのアクリル製実験水槽にこまかいガラス玉をっめ、左側半分には密度0.998g/cm3の真水を、また右側半分には密度1.022g/cm3の塩水をいれ、その境界面が時間の経過とともに、どのように変化するかを調べたものです。

また、塩水中の印をっけた特定の分子の移動状況、および実験水槽内の流れの大きさと、その方向(これを流速ベクトルとよんでいる)をコンピュータを使って計算した結果もしめしてあります。

密度の大きい塩水が、密度のちいさい真水のしたにもぐりこみ、最初垂直だった境界面がしだいに変化していくようすがうかがえます。

濃度差によって生じる地下水流動の典型的な例は、海岸ちかくの帯水層中でみることができます。

そして、フロリダ州マイアミ付近で測定された海岸帯水層中の塩分濃度分布図です。

塩水と淡水は混合するうえ、淡水の供給量や海水面もたえず変動しているので、同図にしめすように、塩水と淡水とのあいだにはかなり広い遷移領域があらわれるのが一般的です。

このような海岸帯水層中における地下水の流れを模式的に描いたもので、淡水は陸から海へと流出する一方、密度の大きな塩水は密度のちいさな淡水のしたヘクサビ状にもぐりこみ、海→内陸部→海へと循環しています。

トリクロロエチレンなどの有機溶剤や、あるいはガソリンなどの石油製品のように、水に溶けにくく、かっ密度がことなる液体が地下水中へ浸入する場合には、地下水と液体はおたがいに影響をおよぼしつつも、べつの流体として運動する。

液体どうしがまざりあうにせよ、あわないにせよ、うえでのべたような流れは密度のちがいによって生じる地下水の流れであり、この流れを一括して自然対流、あるいは密度流とよんでいる。

これにたいして、以前のべたような全水頭のちがいによって生じる地下水の流れは、強制対流とよばれる。

レジャー史研究家 ・大木一雄
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